「なぜボクサーは減量を行うのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
わざわざ体重を落として、試合を行う理由がわからないですよね。
減量は過酷ですが、試合で勝つ確率を高めるためには必須です。
そこで本記事では、減量が必要な理由や減量方法を、実体験を交えて紹介していきます。
ボクシングについて詳しくなり、さらにボクシングを楽しむためにも、ぜひ本記事をご覧ください。
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目次
ボクシングの減量とは?
ボクシングにおいて減量とは、試合前日の計量に向けて体重を減らすことです。
私の場合、計量までの1ヶ月間で4.5kg体重を落としました。
58kg(通常体重)→53.5kg(バンタム級リミット)
ボクサーは普段から毎日のトレーニングを欠かしません。
そのため基本的には、通常体重でも無駄な脂肪がついていないので、様々な方法で無理にでも体重を落としにいきます。
試合のための計量に向けて、過酷な過程を経て体重を落としていくことを、減量というのです。
ボクシングで減量が必要な理由
ここからは、ボクシングでなぜ減量が必要なのかを紹介していきます。
具体的には、以下の2つの理由です。
- 試合の階級に自分の体重を合わせるため
- 試合に勝つため
それぞれ詳しくみていきましょう。
①試合の階級に自分の体重を合わせるため
ボクシングで減量が必要な理由の1つ目は、出場する試合の階級に自分の体重を合わせるためです。
ボクシングでは、体重によって階級が決まっております。
男子プロボクサー階級 | 体重(kg) |
ミニマム級 | 47.62以下 |
ライトフライ級 | 48.97以下 |
フライ級 | 50.80以下 |
スーパーフライ級 | 52.16以下 |
バンタム級 | 53.52以下 |
スーパーバンタム級 | 55.34以下 |
フェザー級 | 57.15以下 |
スーパーフェザー級 | 58.97以下 |
ライト級 | 61.23以下 |
スーパーライト級 | 63.50以下 |
ウエルター級 | 66.68以下 |
スーパーウエルター級 | 69.85以下 |
ミドル級 | 72.57以下 |
スーパーミドル級 | 76.20以下 |
ライトヘビー級 | 79.38以下 |
クルーザー級 | 90.72以下 |
ヘビー級 | 90.72超 |
全17階級の中で、階級に合った体重にするために自分の体重を合わせていくのです。
例えば、通常体重が58kgの私がバンタム級で試合に出る場合、計量日にバンタム級のリミットである53.52kg以下にしなければなりません。
試合が決まると同時に「どの階級で試合をするか」も決まるので、試合を行う階級のリミットに体重を合わせにいくため、減量が必要になります。
②試合に勝つため
ボクシングで減量が必要な理由の2つ目は、試合で勝つためです。
自分の通常体重の階級より体重を落として、下の階級で試合に出た方が、試合で勝つ確率を上げられます。
なぜなら、自分より体のフレームが小さい相手と闘えるからです。
減量すると体重は落ちますが、体の骨格は変わりません。
そのため、減量幅の大きい選手の方が腕のリーチが長く、試合を有利に進めやすいです。
また、体のフレームが大きい分、パワーの差も出るでしょう。
体重をできるだけ落として、体付きが自分よりも小さい相手と戦い、試合で勝ちやすくするために減量を行います。
ボクシングの減量方法
ここからは、ボクシングの一般的な減量方法を紹介していきます。
具体的には、以下の2つです。
- 脂肪で落とす
- 水分で落とす
それでは、1つずつ詳しくみていきましょう。
①脂肪で落とす
体についている脂肪を落としていく方法です。
私の場合、以下の2つの方法で体脂肪を減らしていきました。
- スパーリングやミット打ちなどのハードな練習
- 食事の量や質の変更
試合が決まると、いつもよりハードな練習を毎日行います。
さらに、脂の多い牛肉を減らし、鶏胸肉や野菜を多めに食べるようにして体脂肪を落としていくのです。
私は上記の方法で、体脂肪率を1ヶ月間で-7%落としました。
練習量のUPと食事に気をつけることで、体についている脂肪を限界まで取り除いていきます。
②水分で落とす
もう一つの減量方法は、体に残っている水分を出していく方法です。
体内の水分を出して減量するやり方を、水抜きといいます。
成人男性の体内には、平均60%の水分が含まれています。
体内の水分を絞り出してくことで、体重を一気に落とせるのです。
計量前日に岩盤浴や半身浴に長時間入り、大量に汗をかくことで体内の水分を落とし、短時間で体重を減らします。
私は岩盤浴2時間、半身浴1時間で合計3kgの水抜きをした経験があります。
体脂肪を限界まで落とした後は、水抜きをして体内の水分を減らしていくことで、一気に体重を落としていくのです。
計量までの減量の流れ【実体験】
ここからは試合が決まってから、計量日までにどのように減量を行うのかを、私の実体験を元に紹介していきます。
現役ボクサーの、リアルな減量方法を紹介します。
それでは、詳しくみていきましょう。
計量1ヶ月前
私は試合が決まって、計量日の1 ヶ月前頃から減量を開始しました。
-6kgの減量だったので「1ヶ月前から準備を始めれば体重を落とせるだろう」との判断でした。
計量1ヶ月前の過ごし方は、以下の通りです。
- いつもよりハードな練習(スパーリングの頻度多め)
- 食べる量を減らす(毎食80gしか炭水化物を食べない)
- 食事の質を変える(脂質をなるべく取らない)
上記のような生活を送っていると、体の疲れが溜まってきます。
さらに、食べたいものを我慢しているため、イライラしてくるのです。
しかし毎日体重計に乗ると、確実に体重が減っているのがわかり、体の動きにもキレが出てきました。
体重計は、アプリ連動で体重や体脂肪の変化が簡単にわかるものが良いです。
目標体重を設定できれば「何kg体重を落とせば良いのかが」が一目でわかり、やる気も出ます。
減量中の体重管理のために、ある程度高性能な体重計は必須です。
計量前日
私は計量前日に「リミット体重まであと3kg」というところまで減量できておりました。
計量前日までに、運動や食生活に気をつけることで、体脂肪を減らして体重を落とせていたのです。
計量前日は水や果物を少しだけ食べ、岩盤浴と半身浴で水抜きをしました。
水抜き後は、無駄な脂肪が一切ついていない痩せ細った体になります。
計量前日の水抜き終了後でリミットジャストまで減量でき、計量に臨めました。
計量後
計量クリアした後は、おかゆや果物などの胃に負担のかかりにくい食べ物を食べて、体重を戻していきます。
減量後にいきなり油分の多いものを食べると、胃がびっくりしてお腹を壊しやすくなってしまうのです。
私の場合は、バナナとポカリスエットを飲んでお腹を慣らした後に、おにぎりやパスタなどを食べて体重を戻していきました。
その結果、計量後から試合当日までに、3キロ近く体重が増えました。
計量クリアしたボクサーは、体重と体力を回復させるために食事をして、万全の状態で試合に向かう準備をします。
減量とダイエットは違う?
減量とダイエットは、大きく異なります。
期間 | 運動 | 食事制限 | |
ダイエット | 中〜長期間 | ランニングなどの適度な運動 | 適度に糖質制限など |
減量 | 短期間 | スパーリングなどの激しい運動 | ほとんど食べれない日も |
ダイエットは、中〜長期間で痩せることを目標にしているので、適度な運動と食事制限で痩せていくことが多いです。
しかし減量は、計量日までの1ヶ月程度で一気に体重を落とさなくてはなりません。
さらに、試合に向けてスパーリングなどの激しいトレーニングをする必要があります。
激しい食事制限をしつつ、激しいトレーニングをするのは非常に過酷です。
また、減量の食事制限は厳しいため、試合が終わると一気に体重が増えてリバウンドします。
健康的に痩せ続けたい一般の方は、無理なくダイエットを行うことをおすすめします。
試合で勝つために減量は必要
ボクシングでなぜ減量が必要なのかについて、現役プロボクサーである私がわかりやすく説明しました。
ポイント
- 試合で勝つ確率を上げるために減量は必要
- 減量の方法
- 試合が決まってから計量までに流れ
減量せずに試合をすると、自分より体のフレームが大きな選手と試合をしなくてはならないので、不利です。
なるべく下の階級に体重を合わせて、自分より体の小さい相手と試合をし、勝ちやすくするために減量が必要となります。